小松駅を降りて、西口から「うらら」の裏を通って、線路沿いに金沢方面へ200mほど歩いていきますと、左手にこの風景が見えてきます。私にとって懐かしのボンネット型特急電車ですが、同じように感じられる方はたくさんいらっしゃると思います。柵があるため、乗ることはできませんが、外から見ているだけでも、時間がさかのぼり、昔のことが思い出されます。
保育園の卒園式を終え、小学校入学前の春休み、祖父母と一緒に東京旅行に行きました。上野出発時には満席だった帰りの車内(一番後ろの車両でした)も、金沢駅近くになると、残っていたのは家族連れ3組。他の2組も両親と私と同じくらいの男の子の3人組でした。
「運転席に乗せてやるぞ~」
後ろの運転席から出てきた車掌さんが呼びかけました。それぞれの親たちに促され、子供たちは車掌さんの前に順番に整列。3人の中では一番大きかった私は一番後ろに。
「これは踏んだらダメやぞ。」
一言注意を受けた後、1人ずつ順番に運転席へ。後向きとはいえ、動いている電車の運転席に座ることができ、とてもいい思い出になりました。
実は私、乗り物酔いがひどく、片道7時間、しかもクネクネした山道を通る電車は大敵で、金沢駅に近づいた頃には、完全にグロッキーでした。しかし、車掌さんの一言で元気になり、運転席を満喫したのでした。
他の車両に乗っていた子供達は呼ばれていなかったので、イベントではなかったと思います。最後尾の車両に偶然いただけの特別待遇。つらそうな私の様子を見ていた車掌さんが、「電車を嫌いにならないでほしい」との思いから、楽しい思い出をくれたのかなと思います。
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